低解約返戻金の課税問題について、国税庁が見直すことが公に報道されました。
これは、契約者を法人とした保険金を解約返戻金が低いうちに被保険者である役員や従業員へ名義変更し、その後、解約返戻金が高くなった段階で解約することで、低額な課税関係で名義を移した後に被保険者が得をする、という課税問題です。
何が得をするか、といえば、低い自己資金で多額の返戻金を受け取ることができる、ということの他に、名義を変更した際の「経済的利益の供与」は給与所得として課税、解約した際の実際の解約返戻金は一時所得としての課税となる点です。
ご存知の通り、給与所得課税は一定金額までは給与所得控除額が、一時所得課税は最高50万円の控除と2分の1課税、という、両者とも税制上かなり優遇された課税となっています。
さらに「経済的利益の供与」は、現在、名義変更時の解約返戻金相当額です。低い解約返戻金相当額であれば、給与課税される金額も低いわけです。
この問題について、解約返戻金相当額が資産計上額の7割未満の場合には、給与所得となるべき金額は、解約返戻金相当額ではなく資産計上額になる、と見直されるようです。
国税庁の執行年度は、6月末が年度末です。それまでに改正できるように動いているようです。
実際に見直す場合には、通達の改正となるため、パブリックコメントを経ての改正となります。パブリックコメントが出た段階で、またご案内できれば、と思います。
なお、この見直しについては、2019年の定期保険の改正通達が絡んでいます。具体的には、「資産計上額」というのが、この改正通達によって資産計上されている金額をいうからです。
そもそもこの2019年の改正通達はどういったものだったのでしょうか。これに関しては、MyKomonの「会計担当者養成動画」で、改正の背景から実際の通達の解説まで、全3回に分けて2019年に配信しておりますが、この改正について改めて見直すことができるよう、先月末配信から再配信しております。2019年に視聴済みの方であっても、確認テストは新たにご用意しております。MyKomonの「会計担当者養成動画」をご契約の会計事務所様は、お時間の許す限りご視聴くださいませ。
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