作成日:2018/02/28
再度の競馬の馬券の払戻金に係る課税の見直し
競馬の馬券の払戻金に係る課税関係については、平成27年3月10日の最高裁判決を受け、所得税基本通達(所基通)の改正を経て見直しが図られています。
所基通34-1では、原則一時所得であるとの見解はそのままで、注書きで雑所得にするケースを以下のように述べています。
馬券を自動的に購入するソフトウエアを使用して独自の条件設定と計算式に基づいてインターネットを介して長期間にわたり多数回かつ頻繁に個々の馬券の的中に着目しない網羅的な購入をして当たり馬券の払戻金を得ることにより多額の利益を恒常的に上げ、一連の馬券の購入が一体の経済活動の実態を有することが客観的に明らかである場合の競馬の馬券の払戻金に係る所得は、営利を目的とする継続的行為から生じた所得として雑所得に該当する。
この「馬券を自動的に購入するソフトウエアを使用して」というポイントに関して、平成29年12月15日の最高裁判決では、ここを排除したケースにおいても雑所得に該当する判断がなされました。
また、この判決の他に、平成28年9月29日の東京高裁の判決(最高裁平成29年12月20日上告棄却)では、一時所得に該当する判断ケースがありました。
ちなみに今回雑所得として判断された最高裁判決のケースでは、ソフトウェアを使用してはいないものの馬券購入については、「予想の確度の高低と予想が的中した際の配当率の大小の組合せにより定めた購入パターンに従って馬券を購入」しているほか、「偶然性の影響を減殺するために、年間を通じてほぼ全てのレースで馬券を購入することを目標」としていた、とありました。
一方、一時所得として判断された高裁判決のケースでは、「少なくとも3年間ほぼ全ての土日において馬券を購入」しており、1億円を超える多額な資金が移動している年があったものの、馬券選定の具体的な態様を示すことができなかったことが、雑所得へ判断できなかった要因といえそうです。
これらの判決を受け、国税庁はパブリックコメントを経て所基通34-1を改正するようです。
○競馬の馬券の払戻金に係る課税について
http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h30/keiba/index.htm
よほどのケースでない限り、雑所得に該当するとはいえそうにないようですが、一応還付手続きについてのコメントも上記URLに記載があります。詳細は、上記URLよりご確認ください。
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