作成日:2016/01/27
年末年始にまたがる公社債の譲渡による所得の総収入金額の収入すべき時期の取扱いについて
公社債や公社債投信(以下、公社債等)の譲渡については、平成27年分までの譲渡益に税金はかからず(非課税)、損失が生じた場合にはその損失はなかったものとみなされていました。これらの取扱いについて、28年分から申告分離課税として取扱われることとなっています。
そのため、27年中に公社債等の譲渡を行い利益確定、かつ、非課税の恩恵を享受された方もいらっしゃるでしょう。
ところで、申告分離課税となった場合には、株式等に係る譲渡所得等として計算することとなります。
公社債等について証券会社を通じて売買を行うと、約定日と受渡日の2種類の日付が発生します。約定日は売買の注文が成立した日であり、受渡日は売買の決済を行った日です。
株式等に係る譲渡所得等の計算は、原則引渡し日(受渡日)で課税を行いますが、契約の効力の発生日(約定日)で申告があったときには、約定日で課税を行うこともできます(措置法通達37の10・37の11共-1(1))。
約定日から起算して通常4営業日が受渡日となっていますので、ケースによっては年末に約定日、年明けに受渡日という取引も考えられます。たとえば平成27年末に約定日、28年明けに受渡日という場合もあるでしょう。
このような場合、約定日で申告をしなければ、約定日として課税を認識できないのでしょうか。
このことについて、照会がされています。
○公社債の譲渡による所得の総収入金額の収入すべき時期の取扱いについて
http://www.nta.go.jp/tokyo/shiraberu/bunshokaito/joto-sanrin/151216/index.htm
結論からいえば、何ら申告を行わなくとも、約定日で課税関係を認識することができる、つまり平成27年中の譲渡として非課税として取扱うこととして認められることが記載されています。
逆をいえば、公社債等の譲渡について平成27年中の約定日、かつ、平成28年中の受渡日となったケースで損失が生じていれば、受渡日である平成28年の申告とすると、同年中の他の株式等に係る譲渡所得等に係る譲渡益等との損益通算が可能となります。
このような年末年始にまたがるケースが生じた場合には、どちらを選択した方が税金の計算上有利なのか、確認してみましょう。
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