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作成日:2017/10/27
最高裁で納税者逆転勝訴 タックスヘイブン対策税制の適用除外要件を満たす



 10月24日、最高裁判決が出ました。


 ○法人税更正処分取消等請求事件 平成28(行ヒ)224
  http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87157
 
 これは、シンガポールの子会社がタックスヘイブン対策税制の適用除外要件を満たしていないとして更正処分を受けたものに対する取消請求訴訟です。

 適用除外要件とは、一定の要件をすべて満たしている場合には、軽課税国であっても所得を会社単位で日本の法人の所得に合算されて課税されることはない、この「一定の要件」のことをいいます。
 「一定の要件」とは、措置法66の6Cに規定されており、具体的には財務省サイトで示されている次の1〜4です。
  1. 事業基準(主たる事業が株式の保有等、一定の事業でないこと)
  2. 実体基準(本店所在地国に主たる事業に必要な事務所等を有すること)
  3. 管理支配基準(本店所在地国において事業の管理、支配及び運営を自ら行っていること)
  4. 次のいずれかの基準
    • 所在地国基準 (主として本店所在地国で主たる事業を行っていること)
      ※主たる事業が下記以外の業種の場合に適用
    • 非関連者基準 (非関連者との取引割合が50%超であること)
      ※主たる事業が卸売業、銀行業、信託業、金融商品取引業、保険業、水運業、航空運送業の場合に適用
 今回の焦点は、シンガポール子会社が単なるホールディングカンパニーとして株式を保有しているだけなのか、地域統括事業を主として行っているのか、です。つまり上記適用除外要件の1を満たすか否かです。

 そして最高裁は、適用除外要件の1を満たす、という判断をした上で、他の要件も全て満たし、よって適用除外要件を満たしている、という納税者側の主張を支持する判決を出しました。

 ちなみに、平成22年度税制改正において、被統括会社の株式等の保有を行う統括会社を事業基準から除かれる一定の事業から除外する改正がされていますので、現状は本件のような統括会社であることをもって事業基準を満たさないという判断はされません。

 この事件の対象事業年度は、平成20年3月期と21年3月期の2期分です。実はその後の、22年3月期と23年3月期の2期においても同様の更正処分を受けており同様に取消請求訴訟を行っています。この2期分については10月18日付けで、名古屋高等裁判所で納税者側の主張が認められる判決が出されています。

 これらについて、納税者側が同社サイトでニュースリリースとして公表されています。こちらもあわせてご確認ください。

 ○タックスヘイブン対策税制に基づく更正処分に対する取消請求訴訟の最高裁判決について
https://www.denso.com/jp/ja/news/news-releases/2017/20171024-03/
 
 
 なお、上記適用除外要件は、平成29年度税制改正により見直されています。

 ○CFC税制の改正について(タックスヘイブン対策税制・外国子会社合算税制)平成29年8月
http://www.meti.go.jp/policy/external_economy/toshi/kokusaisozei/170822_cfc.pdf
 
 
 
 具体的には、適用除外要件が“経済活動基準”という名称に変わり、要件を満たすことについての書類は求めに応じて提出することになったなど一定の改正がされている他、部分合算される資産運用的所得が受動的所得となり、その合算される対象範囲が広がりました。こちらもあわせてご確認ください。




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