作成日:2016/07/19
商業登記規則の改正 別表二が株主リストの代用として認められるかも
平成28年10月1日に施行される商業登記規則の改正により、株主総会の決議等を経る必要がある登記の場合には、同日以降の登記申請に際し、株主の情報を記載した一定の書面(以下、株主リスト)の添付が義務付けられます。
この改正の背景として、法務省のパブリックコメントを読む限り、株主総会議事録を偽造し役員になりすまして変更登記を行い会社の財産を処分するなど、登記を悪用した犯罪や違法行為について、消費者保護や犯罪抑止のための登記の真実性の担保強化、法人の所有者情報を把握することで透明性の確保と悪用防止の国際的な要請など、があるようです。
○「商業登記規則等の一部を改正する省令案」に関する意見募集
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=300080144&Mode=0
○「商業登記規則等の一部を改正する省令案」に関する意見募集の結果について
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=300080144&Mode=2
ちなみに、「株主リスト」の対象者は、必ずしも全ての株主である必要はなく、次のいずれか少ない方とされています。
- 総株主の議決権の数に対するその有する議決権の割合が高い方から数えて上位10位までの株主
- 有する議決権の数の割合を当該割合の多い順に加算し、その加算した割合が3分の2に達するまでの株主
- 株主の氏名(名称)及び住所
- 有する株式の数、議決権の数
- 議決権の割合
ところで、法人税の申告をする際、別表二(同族会社等の判定に関する明細書)を提出します。ここには株主リストに必要な事項が記載されていることから、中小企業に対する事務負担に配慮し、別表二で代用を認めるよう、パブリックコメント内で意見が出ていました。これについて、パブリックコメント内での法務省の回答は、代用できないことが記載されていましたが、先日、条件さえあえば代用が可能であることが分かりました。ただし、別表二が全てのケースにおいて満たされるとは限らないことから、代用できるかどうかのフローチャートが法務省で用意されるようです。法務省のサイトで公表され次第(今月中の公表予定らしいです)、またあらためてご案内する予定です。
なお、“株主総会”がない医療法人などは、今般の改正の対象とはなりません。その点もあわせてご確認ください。
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