ある資産について、もともと地域未来投資促進税制を適用する予定であった場合に、よくよく調べたところ、中小企業投資促進税制も適用できるとなった場合、両方適用はできるのでしょうか。
この場合は、両方適用できず、どちらか一方の適用となります。
いずれも、「本制度による特別償却または税額控除の適用を受ける資産は、租税特別措置法上の圧縮記帳、他の制度による特別償却または他の制度による税額控除の規定の重複適用は認められません。」とあります。
また、当然ですが、同一制度における特別償却と税額控除との重複適用も認められていません。
では、どちらか一方適用するとして、適用の順番はあるのでしょうか。
この点については、何ら規定はされていませんので、自らが選択することとなります。
例えば、機械装置だったとしましょう。
この場合に、特別償却とした場合には、
- 地域未来投資促進税制:基本的に50%の特別償却
- 中小企業投資促進税制:基本的に30%の特別償却
となるため、地域未来投資促進税制の方が税金の計算上、有利となります。
(後述しますが、機械装置が特定経営力向上設備等に該当する場合は即時償却できるため、中小企業投資促進税制の方が有利です。)
一方で、税額控除とした場合には、
- 地域未来投資促進税制:最高6%の税額控除
- 中小企業投資促進税制:基本的に7%の税額控除
となるため、この場合は、中小企業投資促進税制の方が税金の計算上、有利となります。
また、税額控除の場合には、それぞれ上限が設けられており、各々「法人税額の20%」です。
ただし、その上限を超える場合に、取扱いが異なります。
具体的には、控除しきれない部分について、地域未来投資促進税制は繰り越せないのに対し、中小企業投資促進税制は1年繰り越せます。
その点においても、中小企業投資促進税制の方が有利となります。
この他、中小企業投資促進税制については、その機械装置が特定経営力向上設備等に該当する場合には、特別償却は即時償却、税額控除は7%(特定の中小企業者であれば10%)となることから、機械装置である場合には、さらにより深く検討していく必要があります。
中小企業投資促進税制の弱点は、特定経営力向上設備等に該当する場合のものとそうでないものと合計して「法人税額の20%」となるため、他でこの制度を適用している場合には、上限額の計算に注意が必要となります。
いずれにしろ、どの制度を適用したとしても、申告時に確定申告書等に計算明細書を添付する必要があります。
いわゆる「当初申告要件」です。
これがないと適用できません。
また、一旦申告したものについて、他の制度の方が良かったから、といって更正の請求を行うこともできません。
投資減税が適用できるか否かは、税金の計算上、とても重要です。
1つの制度が適用できるからといって甘んじることなく、他の制度も適用できないか十分検討し、複数の制度が適用できるのであれば、その法人にとって最も有利となる制度を適用するようにしましょう。