国民民主党が掲げた公約をもとに、与党に対して年収103万円の壁を178万円へと引き上げることを求めています。
これを受けて帝国データバンクが、「103万円の壁」引き上げに対する企業アンケートを実施し、その結果が同社サイトに掲載されました。これによると、引き上げに賛成が67.8%となっています。
さて、この年収の壁ですが、所得税においては課税のボーダーラインとして103万円ですが、住民税は100万円がアバウトな感覚での課税のボーダーラインといわれています(自治体によって基準が変わるのでここはアバウトですね)。
その他にも、社会保険に加入義務となる要件の年収106万円、国保や国民年金の加入義務となる130万円、150万円は所得税の配偶者控除から配偶者特別控除へと控除が変わって控除額の減少がはじまるライン(制度上は106万円が控除が変わるボーダーラインですが150万円までは控除名は変わるものの控除額は変わりませんので、ここが一つのラインといわれています)であり、201万円はこの配偶者特別控除の適用上限ラインです。これらも壁といえるでしょう。
このように壁は色々とあるため、単に103万円の壁を引き上げればよいという問題ではなく、これらをすべて総合して考える必要があるでしょう。むろん、扶養(配偶者)手当を出している企業側がどう対応するのかも重要なポイントですね。
国民民主党は、基礎控除を48万円から123万円へ引き上げることによって手取りを増やすことを案として示しているようですが、基礎控除はサラリーマンでなくとも誰しも受け取れる最低限の所得控除であることから、不動産所得者でも事業所得者でも単純にその差の75万円×適用税率分の税金の負担が減ることになります。
そのまま実現すると、7〜8兆円規模の減収になると政府は試算しているとの報道があります。財源の問題も出てくることから、このままでのOKは出ないでしょうが、仮に実現するのであればどう実現されるか(妥協されるか)は、税制改正大綱が出た段階あるいはその前の報道等により明らかとなるでしょう。
なお、上記で紹介した様々な年収の壁については、厚生労働省が上手にまとめています。以下のURLよりご確認いただくとよいでしょう。