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作成日:2018/06/26
最高で懲役7年6ヶ月 平成29年度 査察の概要



 国税庁から「平成29年度 査察の概要」が公表されました。


 ○報道発表資料(プレスリリース)目次
  平成29事務年度分(平成29年7月から平成30年6月)
  http://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/press.htm
 
 ○平成29年度査察の概要(平成30年6月)(PDF/520KB)
http://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2018/sasatsu/h29_sasatsu.pdf
 

 上記概要をご覧いただくとお分かりのとおり、重点的な取組として特筆されていたのは、「消費税受還付事案」です。不正還付として多額となるのは、輸出免税制度を利用したものですが、今般の告発事例で紹介されていたのも、この輸出免税制度を利用した以下の不正還付です。


 上記画像の“(注)”に記載されているとおり、輸出免税制度は、国外へ商品を販売したときに、その販売に係る消費税は課税対象となるものの税率が0%であるため、実質課税がされません。他方、仕入は課税対象となる売上に係るものということで負担した消費税分を仕入税額控除として含めることができます。そうすることで、仕入税額控除分を差し引くことができ、実質その部分の還付を受けられる、という仕組みです。

 例.輸出売上1,000  仕入 864(うち消費税等64)

 この場合、消費税と地方消費税あわせてざっくり分かりやすく表示しますと、次のようになります。
  課税売上 1,000
  消費税      0(1,000×0%)
  仕入税額控除 64
  差引消費税 △64 →このマイナス部分が還付されます
 
 ちなみに、消費税がかからないということで、“非課税”や“不課税”があります。これらについては課税売上ではないため、消費税がないことになります。つまり、消費税の申告を行ったとしてもその課税売上ではない売上に対応する仕入についてはその負担した消費税分を仕入税額控除として控除することが原則できないため、還付を受けることはできない、という理屈になっています。

 ところで、今回の査察でも「無申告ほ脱事案」や、「国際事案」、「近年の経済社会情勢に即した事案」についても積極的に取組んでいたことが記されており、この「近年の経済社会情勢に即した事案」として、次の4項目が挙げられていました。
  1. 太陽光発電関連事案
  2. 震災復興関連事案
  3. スーパーコンピュータの開発等を行う法人の脱税
  4. インターネットを利用したカウンセリング・セミナーなどを行う個人の脱税

 なお、今回公表された平成29年度に関して、一審判決が言い渡された件数143件のうち、最も重い実刑判決は過去最高の懲役7年6ヶ月だったそうです。この事例も公表されていますので、詳しいことは上記URLよりご確認ください。




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