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作成日:2018/05/14
公益法人会計基準 一部取扱いの変更と勘定科目明確化案のパブコメ公表



 税制の優遇を受けている公益法人は、文字通り社会的な公益性が求められ、それは事業の目的のみならず、費消や保有にも制限が設けられるなど、一定の規律が定められています。

 そのため、自由な活動ができる株式会社とは異なるルールが存在しており、会計も公益法人独自の基準が存在しています。

 この公益法人の会計については、実務上の課題が以前より内閣府公益認定等委員会の下、『公益法人の会計に関する研究会』にて話し合われてきています。平成26年度から毎年度、その検討結果が報告されてきていますが、平成29年度もまずは“案”が作成され、パブリックコメントのサイトで公表されました。

 ○平成29年度公益法人の会計に関する諸課題の検討結果について(案)の御意見募集
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=095180650&Mode=0
 
 この検討結果は、その後の公益法人の会計や運用指針の改正に影響を及ぼすものです。

内容は、次の5つです。
  1. 特定費用準備資金の要件の明確化と弾力運用
  2. 遊休財産額算定の際に控除される財産の明確化
  3. 為替差損益の科目の明示化
  4. 他会計振替前当期一般正味財産増減額の記載
  5. 別表H簡便版の作成のフォローアップ
 上記1.の“特定費用準備資金”とは、公益法人独特のもので、将来の活動資金として支出するためにプールしておくためのもの(科目)です。ここに計上できるのは活動の計画性や具体性が求められるものであるため、実際の活用は20%程度と低いものです。そこで活用促進を図るため、今年度では“特定費用準備資金”の要件を明確化するとともに、一定の条件を下に弾力運用ができるように取り計らわれようとしています。

 また、上記2.の遊休財産は、冒頭にお伝えしたとおり、社会的な公益性が求められる公益法人にあって、何らの事業にも使われない“宙ぶらりん”の財産を保有し続けることは、社会的な信頼性の確保につながりません。そこで公益法人は遊休財産額がいくらあるのかを算定する必要があるのですが、その際に遊休財産ではないとするものの範囲について実情と見合っていない部分を是正しよう、という動きです。ただし、今年度においても方向性が示されているのみで、明確な解決にはつながっていません。

 このほか、上記3.は昨今の低金利時代にあって、公益法人としても資産運用として外貨建債権等を保有する状況が散見されるようになっていることから、勘定科目としてこれまで明示されていなかった為替差損益を新たに科目として設定するとともに、その計上方法を明確化しようとするものです。

 ちなみに上記4.は、現状の書類について確認しづらいことを理由とした、日本公認会計士協会からの是正要望です。
  
 なお、上記“案”受けた、公益法人会計基準の運用指針の改正案についても、同時にパブリックコメントのサイトで公表されています。

 ○公益法人会計基準の運用指針の改正案の御意見募集
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=095180660&Mode=0
 
 ここでは、上記3.と4.についての具体的な改正案となっています。

 いずれも意見の締切日は5月23日です。
 詳しいことは上記URLよりご確認ください。




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