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作成日:2017/10/18
繰延税金資産・負債の表示場所が見直しへ〜 規則改正のパブコメ公表



 先日ご案内した「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準 9月28日正式スタート」のなかで、税効果会計に関して日本公認会計士協会から公表されている実務指針について、企業会計基準委員会へ移管する過程での見直しについて触れています。この見直しに関して、すでにいくつか公表されており、先日の件もそのなかの一つです。

 このほかにも、6月に次の草案が公表されています。

 ○企業会計基準公開草案第60号 「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正(案)」等の公表
https://www.asb.or.jp/jp/accounting_standards/exposure_draft/y2017/2017-0606.html
 
 
 ここには、企業会計基準公開草案第60号と、企業会計基準適用指針公開草案第58〜60号があります。企業会計基準公開草案第60号は、移管する過程において会計基準(表示・注記事項)が見直されたものです。また、企業会計基準適用指針公開草案第58〜60号のうち、58号及び60号は実務指針からの移管分、59号はすでに移管され公表されている企業会計基準適用指針第26号の改正分です。

 この移管前後の関連については、以下URL先の概要10ページ目にある図が参考になります。
 ○コメントの募集及び本公開草案の概要
https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/zeikouka2017_01.pdf
 
 “企業会計基準適用指針公開草案第58号および第60号”に関しては、先ほど述べたとおり一部を除き移管されたものになりますが、以下の項目について見直しもされています。
  • 個別財務諸表における子会社株式等に係る将来加算一時差異の取扱い(税効果適用指針案第8項(2))
  • (分類1)に該当する企業における繰延税金資産の回収可能性に関する取扱い(回収可能性適用指針案第18項)
 他方、“企業会計基準公開草案第60号”の表示・注記事項の見直しについては、会計基準自体の見直しとなるため、規則改正手続きが必要です。
 そのため今般、当該改正の手続きが入り、まずはパブコメとして公表されました。

 ○「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(案)」等の公表について
  http://www.fsa.go.jp/news/29/sonota/20171013.html
 
 ○【案件番号:225017017】 「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(案)」等の公表について
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=225017017&Mode=0
 
 
 上記パブコメは、10月13日〜11月11日の期間で意見募集を行っています。

 具体的な内容は上記から確認いただければよいのですが、一番分かりやすい表示の改正についてご案内しますと、現状繰延税金資産・負債については、対象となった資産負債に応じて、流動資産/負債あるいは固定資産/負債として表示しています。これが改正後は、対象となった資産負債に関係なく、すべて繰延税金資産は『投資その他の資産』の区分に、繰延税金負債は『固定負債』の区分に表示されることになります。

  表示場所
現行 改正案
繰延税金資産 流動資産
固定資産
投資その他の資産
繰延税金負債 流動負債
固定負債
固定負債

 ちなみに、注記事項の改正は、評価性引当額・税務上の繰越欠損金の情報等になります。

 上記改正案がそのまま通ると原則、平成30年4月1日以後開始事業年度から適用されることになります。つまり1年決算法人を前提にしますと、平成31年3月期の決算法人から原則適用開始、ということになります。
 なお、この改正に関しては、表示方法の変更として取扱うこととなりますので、ご留意ください。




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