作成日:2017/09/19
相続人でない孫が遺贈を受けたとき、障害者控除は適用できるの?
障害のある孫に、遺言で財産を相続させたとき、孫が相続人でないときには、遺贈により財産を取得することになります。
この場合、孫の相続税の計算上、障害者控除は適用できるの? と聞かれました。
障害者控除の適用を受けられるのは、“相続又は遺贈により財産を取得した者”が大前提ですから、遺贈により財産を取得した孫はこの大前提に該当します。
その他の要件も相続税法第19条の4に規定されていますが、そこには「当該相続又は遺贈に係る被相続人の前条第1項に規定する相続人に該当し、かつ、障害者である場合には」と続いています。
今回のケースでは、『孫は相続人でない』ということなので、障害者控除を適用することはできないことになります。
ちなみに、“前条第1項に規定する相続人”の前条とは未成年者控除を指しています。そこには、“相続人とは、民法第五編第二章 (相続人)の規定による相続人(相続の放棄があつた場合には、その放棄がなかつたものとした場合における相続人)”と規定があるため、いわゆる『法定相続人(相続の放棄があったときはなかったものとした場合における相続人)』となります。
したがって、仮に今回の孫の年齢が20歳未満であったとしても、未成年者控除も適用することはできない、ということになります。
また、孫の遺贈による財産の取得、といえば、相続税額の2割加算を思い浮かびますが、“相続人でない孫”であるため、当然のことながらこの2割加算の適用を受けます。
なお、孫の立場であったとしても、その孫が代襲相続人(つまり民法上の相続人)である場合には、障害者控除、未成年者控除を適用できますし、2割加算の適用から外れます。他方、孫が被相続人の養子(いわゆる“孫養子”)である場合には、民法上の相続人たる地位はあるため、障害者控除、未成年者控除は適用できますが、代襲相続人でない限り2割加算の適用を受けることになります。