作成日:2017/08/31
中小企業倒産防止共済掛金の前納減額率 引下げ後の率が決定 11月分より開始
昨年末に中小機構から中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済)についての見直し、具体的には前納減額金の減額率引下げの検討が公表されていましたが、これについて今月21日付けで改正がされ、引下げ後の減額率が決定しました。
○中小企業倒産防止共済法施行規則の一部改正のお知らせ
http://www.smrj.go.jp/tkyosai/announce/101382.html
今般の改正点は、減額率の引下げと前納月数の端数処理の規定改正です。
具体的な減額率の引下げは、次に詳しく示されています。
○制度改正(前納減額率の見直し)のお知らせ
http://www.smrj.go.jp/tkyosai/announce/101344.html
【改正前】 5/1,000 (1,000分の5)
【改正後】 0.9/1,000 (1,000分の0.9)
改正後の前納減額率は、小規模企業共済のそれと同一となります。
前納減額金は、[掛金月額×減額率×前納月数の累計]で算定されますが、今般の改正による引下げで、受取る前納減額金が少なくなります。
たとえば月額の掛金が10万円の契約者が、10月に当月分掛金10万円の他に翌年9月分までの11ヶ月分の前納をした場合の前納減額金は、次のようになります。
改正前:
10万円 × 5/1,000 × 66(※)ヶ月 =33,000
改正後:
10万円 × 0.9/1,000 × 66(※)ヶ月 =5,940
(※)累計なので、前納分1〜11回を足します。
つまり、1+2+3+4+5+6+7+8+9+10+11=66、です。
そして実際、翌年6月に支払われる金額は、3月末現在で算定されるため、次のようになるようです。
改正前:
10万円 × 5/1,000 × 15(※)ヶ月 =7,500
→5,000円以上のため6月に支払われる=6月に掛金引落口座へ入金
改正後:
10万円 × 0.9/1,000 × 15(※)ヶ月 =1,350
→5,000円未満のため6月に支払われない=当年6月に受取れない(繰越)
(※)ここでも“累計”なので、計算対象となる前納の11月〜翌年3月分までの5回分を足します。
つまり、1+2+3+4+5=15、です。
今般の改正は、平成29年11月以降の前納分から適用されることになります。つまり、10月までの前納分は改正前の減額率を用いて前納減額金が計算されることになるため、少しでも前納減額金を多く受取ろうとお考えの場合には、10月5日までに中小機構に「掛金前納申出書」が届くように準備しましょう。
この場合、掛金の積立限度額は800万円ですから、もし今般の改正により前納をお考えの場合には、月額掛金とともに残り積立てることができる掛金の額を確認されるとよいですね。
なお、前納月数の端数処理については、規定改正はされたものの実務上は改正後の取扱いが既に行われており、今般の改正によって何ら影響はありません。こちらは、小規模企業共済についても同様の改正がなされています。