作成日:2015/08/04
相続を放棄した人がいる場合の保険金の非課税限度額
昨日の方からは、もう1つ、次のご相談がありました。
「私が受取った生命保険金から、保険金の非課税限度額を控除することはできるのでしょうか」
(ご相談の前提は、こちらから。)
受取人が指定されている生命保険金は、受取人固有の財産であり、本来の相続財産ではありません。そのため、相続放棄を行っていても、生命保険金の受取りはできます。
一方で、ご相談のケースの生命保険金の受取りは、本来の相続財産ではありませんが相続税の計算上「みなし相続財産」として、課税価格に含めます。
ただし、みなし相続財産となる生命保険金の受取りについては、次の算式により計算した非課税限度額があります。
保険金の非課税限度額=500万円×法定相続人の数
この場合における『法定相続人の数』とは、先日の『法定相続人の数』と同様です。つまり、相続の放棄があったらその放棄がなかったものとし、被相続人に養子がいる場合には養子の数に制限を設けています(相法12@五、相法15A)。
したがってご相談のケースでの非課税限度額は、1,000万円(500万円×2)となります。
ところで、この非課税限度額を適用できるのは、相続人が取得した保険金に限られています(相法12@五)。この場合における相続人に、相続を放棄した人や相続権を失った人は含まれません。
そのため、相続を放棄した“私”が受取った生命保険金から、保険金の非課税限度額を差引くことはできません。受取った生命保険金全額が相続税の課税価格となります。
ちなみに相法15Aを基礎とした「法定相続人の数」としているものは、今回の保険金の非課税限度額や昨日の基礎控除の他、次のものがあります。
- 退職手当金等の非課税限度額
- 相続税の総額の計算
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