作成日:2014/05/29
普通徴収希望だったのに、特別徴収がきた
従業員の個人住民税の納付について、従業員個々で納付してもらう普通徴収でこれまで行ってきた事業者が、今年、特別徴収として通知書が送られてきた、というケースを耳にします。
これは、今年に限ったことではなく、近年、自治体が特別徴収へと推し進めている取組の1つです。
本来、給与支払者は給与の源泉徴収と同様、給与の支払時に住民税を徴収しなければならない義務があります(地方税法321の3、321の4他)。
ただし、普通徴収希望として給与支払報告書を提出していた事業者については、これまで認められてきた、というのが実情です。
しかし、先ほどのとおり特別徴収へ推し進めている関係で、ほぼ“強制的”に特別徴収となっている自治体もあるようで、これまで普通徴収で対応してきた事業者としては、事務負担が増えること必須です。
具体的には、次のとおりです。
1.従業員への説明及び通知書を渡す
従業員へは、毎月の給与から徴収することになったことの説明及び自治体から送付された「平成26年度給与所得等に係る市民税・県民税特別徴収税額の決定通知書(特別徴収義務者用)」を渡してその額を知らせる必要があります。この特別徴収は、6月から翌年5月までの各月の給与支払の際に徴収することになりますので、その旨も伝えておくと良いでしょう。
2.徴収及び納付
給与支払時に通知書に記載された住民税額を徴収し、原則として翌月10日までに納入書をもとに納付します。各従業員の住所地の自治体へ納めることになるため、対象自治体が多いとその分納入書が増え、管理が大変です。
また、給与の源泉徴収と同様、納付を毎月ではなく半年に1回の特例を申請することで認められます。この場合も、対象自治体へ申請する必要があります。
3.従業員が退職等した場合
特別徴収していた従業員が退職等した場合には、「給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書」を原則として翌月10日までに提出します。
また未徴収の住民税額を一括徴収する場合には、給与から徴収しきれればいいのですが、しきれない場合には従業員から直接徴収する必要がありますので、退職等の際には、時期によっては従業員の意思確認、もし金銭のやり取りが発生する場合にはどう受け取りをするのかを確認するなど、一連の作業があります。
もし、一部の従業員は普通徴収、一部の従業員は特別徴収となれば管理がさらに煩雑となります。このような場合には、特別徴収による事業者への影響を考えて、他の普通徴収先をどうするのかを検討しましょう。