作成日:2014/01/14
総収入金額はどこまで入る?
税法が変われば、税法に絡んだ通達も変わります。
最近では、通達改正の趣旨説明まで国税庁ホームページ上で掲載されています。
ここ最近では、法人税基本通達、租税特別措置法関係通達(法人税編)関係についての改正趣旨説明のページが更新されました。
○平成25年6月27日付課法2-4ほか1課共同「法人税基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)の趣旨説明
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/hojin/130627/index.htm
個人的にヒットしたものをいくつかご紹介します。
まず、次です。
第67条《社会保険診療報酬の所得の計算の特例》関係(PDF/183KB) の
【新設】67-2の2(総収入金額の範囲)
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/hojin/130627/pdf/14.pdf
何かといえば、概算所得計算できる措置法について、5,000万円基準に加え、総収入金額7,000万円以下であることの条件が加わりました。この点について、何が総収入金額なのか、を例示をもとに示しています。
具体的には、次の通りです。
【新設】(総収入金額の範囲)
67−2の2 措置法第67条第1項に規定する総収入金額とは、医療法人の営む医業活動から生ずる収益の額をいうのであるから、例えば、次の金額は含まれないことに留意する。
- 国庫補助金、補償金、保険金その他これらに準ずるものの収入金額
- 固定資産又は有価証券の譲渡に係る収益の額
- 受取配当金、受取利子、固定資産の賃貸料等営業外収益の額
- 貸与寝具、貸与テレビ、洗濯代等の収入金額
- 医薬品の仕入れ割戻しの金額
- 電話使用料、自動販売機等の手数料に係る収入金額
- マスク、歯ブラシ等の物品販売収入の額
さて何をもとに「医業活動から生ずる収益の額」をいうか、ですが、この点について上趣旨説明では、次のように述べています。
ところで、厚生労働省医政局が公表している「病院会計準則」によると、医療法人が作成する損益計算書には、医業損益計算、経常損益計算及び純損益計算の区分を設けることとされ、これらの区分では、それぞれ次のように計算することとされている。
イ 医業損益計算の区分は、医業活動から生ずる費用及び収益を記載して、医業利益の額を計算する。
ロ 経常損益計算の区分は、医業損益計算の結果を受けて、受取利息、有価証券売却益、運営費補助金収入、施設設備補助金収益、患者外給食収益、支払利息、有価証券売却損、患者外給食用材料費、診療費減免額等、医業活動以外の原因から生ずる収益及び費用であって経常的に発生するものを記載し、経常利益の額を計算する。
ハ 純損益計算の区分は、経常損益計算の結果を受けて、固定資産売却損益、災害損失等の臨時損益を記載し、当期純利益の額を計算する。
以上のように、医療法人における損益計算書では、医業活動から生ずる費用及び収益を区分して医業利益の額を計算することとされ、この区分における収益の額が、医療法人の行う医業又は歯科医業サービスの提供によって実現した収入等の額に該当するものと考えられる。
つまり、経常損益計算以下の収益科目について、総収入金額に含めない、という解釈のようです。
なお、所得税では、いわゆる“医師の付表”でこの特例計算をしますが、ここでの総収入金額は自由診療割合の計算上における収入の割合で用いる総診療収入を指すようです。この総診療収入は社保診療と自由診療の収入合計で判断しており、雑収入は除かれていることから、上記法人税と同様の結果になると判断されます。