作成日:2013/12/03
不動産業、金融保険業のみなし仕入れ率が引き下げへ?
消費税の納税義務者である事業者は、預かった消費税と支払った消費税の差額を納付しますが、事務処理の煩雑さから、課税売上高が一定額以下であれば、預かった消費税の○%を支払った消費税として計算し、納付することができます。これを「簡易課税制度」といいます。
○%は、業種によって分かれており、現状では次のような5段階の%(みなし仕入れ率)となっています(実務ではもう少し細かく、日本標準産業分類をもとに決められています。)。
・卸売業 90%
・小売業 80%
・製造業、建設業 等 70%
・飲食業、金融保険業、運輸通信業 等 60%
・サービス業、不動産業 等 50%
さて、この簡易課税制度ですが、そもそも事務処理の煩雑さから、売上規模が少ない事業者向けにつくられているものの、実際は、税理士等が関与しており、事務処理の煩雑さ云々は関係なくても、どちらの計算が有利か計算できるなど、制度の趣旨とは乖離した実務となっています。実際、この有利不利の計算について、税理士が納税者から訴えられて負けている裁判も存在しています。
このようななか、財務省が実態調査を行った結果、特に乖離が激しい、金融保険業と不動産業のみなし仕入れ率を引き下げる動きがあることが、11/30付の日経新聞で報道されています。
政府・与党は2014年度の税制改正大綱に盛り込む方向で話し合われているようです。
同業種の事業者にあって、簡易課税制度を適用されている場合には、今後の動向に要注意です。